匂いフェチ官能小説
第6弾
【 ふたりの匂い 】
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官能の震えがようやく収まってきたところで、
杏子は結菜に向かってうっとりと微笑みかけた。


「あ……はっ。もう二回もイッちゃったね……」

「はいぃ……」


 その顔を色っぽく上気させて、結菜が頷く。


「うふふっ……。私たち、
まだ服も脱いでないんだよ……? 

それなのに、
もうこんなにくたびれてちゃってるの。

ふふっ、おかしいよね! 
せっかく私の部屋でエッチしてるんだから、
すぐに裸になっちゃっても良かったのにね!」


「あぁん、しょうがないですよぉ……。
私も杏子さんも、服を脱ぐ余裕がないくらい
興奮しちゃってたんですからぁ……。

それに私、こうやって服を着たままエッチするのも
すごい好きなんです。

杏子さんの匂いが
洋服の間にいっぱいいっぱい溜まってて、
顔を押し付けたりするとそれが
フワーッて薫ってきて、
すっごいドキドキするんです……!」


 そう言うと、
結菜は杏子の背中に腕を回して抱きしめてきた。


「あふぅ……。そう、この匂い……。
杏子さんの今日一日が全部わかっちゃいそうな
この匂いがいいんです……。はぁぁぁ、幸せ……」


「そうなんだぁ。
匂いだけで今日私が何してたか分かっちゃうんだぁ。
結菜はすごいわねぇ」


 彼女の頭を抱きかかえるようにしながら、
髪の毛を撫でてやる。

結菜は嬉しそうにくんくんと
杏子の服の匂いを嗅ぎ続けている。

 やがて結菜が、
杏子の肩のあたりに鼻を埋めたまま溜め息を吐いた。


「あふぅん……。今日の杏子さんの服、
いつもよりずっと素敵な匂いがします……」

「えー? どんな風に素敵なの?」

「うーんと……昨日お風呂に入ってないとか、
そういう匂いとはちょっと違うんです。
なんでしょうねぇ……」


 再び杏子の服に顔を押し付ける結菜。
そのまま、すーはーと何度も匂いを嗅いでいる。


「んはぁ……。何だか、
いつもより腋の下の匂いが強いみたいなんですよ」

「うっふふふふっ。あなたすごいわねぇ! 
そんなところにまで気付いちゃうんだ!」


 後輩のあまりの鋭さに、
杏子は思わず声を上げて笑ってしまった。

 実は一週間ほど前から、
杏子は腋の下の処理をしないでおいたのだ。
しかも、昨日今日と制汗スプレーなどは使っていない。

匂いフェチの結菜を喜ばせる為に
内緒で準備しておいた、
杏子なりのサプライズだった。


「あーっ! そういう風に言うってことは、
やっぱり杏子さん、
そのままにしておいてくれたってことですよね!」

「そうなのよ。でも、
伸ばし始めてまだ一週間だし、そのくらいじゃ
匂いに違いなんて出ないかと思ってたのよねぇ」

「あーん! 一週間でも全然違いますよ! 
嬉しいですっ! 腋の下の匂い、
早く嗅がせて下さいっ!」


 はしゃいだように言って、
結菜は杏子から身体を離した。


「わかったわ。服脱ぐから待ってて」

「はいっ! 私も脱いじゃいます!」

 乱れたベッドの上で、
二人はそれぞれ着ているものを脱ぎ始めた。

 杏子はワンピースからするりと身体を抜くと、
手を後ろに回してブラジャーのホックを外した。

そのまま左右のストラップを肩から滑らす。
Dカップの見事な乳房がたゆんとこぼれ出た。

 一方、
タートルネックを着ていた結菜は
少々手間取っている様子だ。
先程から首が抜けずに悶えている。


「あはは。なんだか苦しそうね」


 杏子は脱いだワンピースとブラジャーを
ぽーんとベッド脇に放り投げ、
結菜の手助けに向かった。

その形の良い大きな胸を揺らしながら、
膝歩きで近づいてゆく。


「待ってね。いま脱がせてあげるからね」


 あごのところに引っかかっている
襟の部分を掴んで広げてやると、
結菜の頭がすぽっと抜けて、ようやく顔が見えた。

静電気のせいで方々に広がっている髪が愛らしい。

 そのまま続けて、
キャミソールもめくり上げてやる。

現れたのは、木綿製のスポーツブラ。
パンティに付いていたウエストの
ワンポイントと同じく、
小さな赤いリボンで飾られている。

 胸の大きさは若干控えめ。
杏子がDカップであることを考えると、
せいぜいBカップといったところだろうか。


「はーい。バンザイして」


 そう言って両手をあげさせ、
キャミソールを抜き取る。
その際結菜の腋の下が丸見えになったが、
杏子と違って丁寧に処理されていた。


「ふふっ。相変わらず結菜の腋は綺麗ねぇ」

「あぁん、すいません……。
本当は伸ばしたりもしてみたいんですけど、
やっぱりお母さんなんかに見られると
恥ずかしいんで……」

「ううん。無理に伸ばさなくていいの。
私、スベスベになってる結菜の腋の下、
すごく綺麗で好きだから……」


 杏子は左腕を持ち上げたままでいる結菜の腋に
顔を近づけ、チュッとキスをした。

汗の酸っぱい匂いに混じって、
ツンと鼻にくる蠱惑的な香りが感じられる。

思わず胸がときめき、
二度三度と口付けを繰り返してしまう。


「あっ、やんっ、くすぐったいですよぉ……」


 身じろいだ結菜が腕を下ろしたので、
いとしい場所へのキスはそれきりとなった。


「もっと結菜の脇の下にキスしたかったのにぃ」

 杏子が恨みっぽい視線を送ると、

「私だって杏子さんの匂い嗅ぎたいんですからっ!」


 と強い口調で言われてしまった。
 結菜はそのまま、慌ただしく
スポーツブラを脱ぎ始めた。

どうやら、杏子の腋の下の香りを
早く確かめたくてしょうがないらしい。

セーターを脱ぐのに手間取っていたのも、
気持ちが急き過ぎていたせいだろう。

(めずらしく結菜に怒られちゃった。
ふふっ。
そこまで私の匂いを嗅ぎたがってるのね、この子……)


 そんな彼女の様子に、
ますます愛しさが膨らむ杏子だった。


「はぁっ、ようやく脱げました……。
杏子さん、いいですか……?」


 ブラを取り払った結菜が、
四つん這いで杏子に迫ってきた。
その表情は完全に欲情し切っていて、
頬ばかりか目元までが上気していた。

ここまでの勢いで彼女に求められたのは
久しぶりだった。


「もちろんよ。こっち来て」


 そう言うと、
杏子はベッドの端に置いてあった掛け布団に
背中を預けていった。

四つ折りにして畳んでおいたおかげで、
もたれ掛かって上体を起こしておくのに
ちょうどいい高さになっているのだ。


「あぁん、杏子さぁん……」


 天井の明かりが煌々と部屋を照らす中、
素肌を晒した結菜が杏子にすり寄っていく。

 今や二人が身に付けているのは靴下だけ。
そっと寄り添うだけで肌が触れ合い、
お互いの温度を直接感じることができた。

 やがて結菜は、
裸の上半身を杏子に預けてきた。
張りがあって心地よい柔らかさの乳ぶさが、
ぴっとりと杏子の胸に押し付けられる。


「あぁ……。結菜のカラダ、
あったかくて気持ちいい……」


 杏子としてはそのまま
抱き合いたい気持ちだったが、結菜の身体は
スススッと横に移動していってしまった。


「はぁぁ……。杏子さんの腋の下……」


 まぶたをボウッと赤く染めた結菜が、
杏子の左側の腋に向かって
ゆっくり顔を近づけてくる。


「結菜の好きにしていいよ……」


 誘うようにそう言い、
杏子は左腕を持ち上げていった。

 滅多に光を浴びることのないその場所が、
明かりの下に晒される。

色気のある窪み全体に広がる、
黒く短い腋毛。その生えたての絨毯に、
結菜が鼻を埋めてゆく。

 すぅぅぅっと腋の下の空気が
吸い上げられていったのが分かる。
その直後だった。


「んっふぅぅぅぅーっ!」


 結菜の歓びの吐息が杏子の肩口を
吹き過ぎていった。

(良かったぁ! 満足してくれたみたいっ!)

 杏子の中で幸せな気持ちが爆発していた。
この瞬間の為に、一週間もの間
チクチクする感触を我慢してきたのだから。


(嗅いでっ! 私の腋の下の匂い、
もっと嗅いでっ!)


 嬉しさのあまり、
結菜の頭を掻き抱いて腋の下に押し付けていった。

そのまま、毛のチクつく窪みの底を
ジョリジョリと彼女の鼻に擦り付けていく。


「んはぁぁぁっ! ふぅぁぁぁぁっ!」


 結菜のほうも狂ったように顔を振り始めた。
入浴を控えたためにより濃密になった腋の薫りと
猥雑な毛の感触。

それらが最高のバランスでミックスされ、
たまらない感情の昂ぶりに襲われているのだろう。


(あぁっ、すごいっ! この子のカラダ、
どんどん熱くなってきてるっ!)


 素肌を触れ合わせているだけあって、
相手の歓びも興奮も直に感じることができた。

みるみる熱を帯びていく結菜の身体に、
杏子自身もまた、激しく高揚していく。


「んーっ! ふーっ! んんんっ! 
レロレロッ! んんっ! ふぅぅぅーっ!」


 時折、腋の下にヌルヌルと舌の這う感覚が走った。
匂いを嗅ぎまくっているうちに、
味までも確かめたくなってきたのだろう。

 しかし、その生ぬるい感触に
くすぐったさはまったくなかった。

そこから湧き上がるのは、
思わず声を漏らしてしまいそうになるほどの快感。

乳首がキューンと尖り出してしまうような、
ゾクゾクする切なさを杏子は感じていた。


「んはぁぁぁっ! 
杏子さんの腋の下おいしいですぅぅぅっ!」


 腋から鼻を離した結菜が、
感極まった様子で報告してきた。


「うふふっ。どんな味がしたの?」

「あぁんっ! 
杏子さんの汗と腋の下の匂いが
一緒になったみたいな、
とにかくすっごい素敵な味ですよ! 
はぁぁぁっ!」


 そこで結菜は、再び杏子の腋に顔を埋めていった。

「んふぅぅぅーっ! すっごい! 
ずーっとこうやって匂い嗅いでたいですっ! 
すぅぅぅ、はぁぁぁっ!」


 腋の間に鼻を押し込み、
何度も何度も匂いを嗅いでは色めいた溜め息を
漏らしている。

そしてまたも舌を出し、
腋の下をまんべんなく舐め回してゆく。


 そんな後輩の姿に、
杏子の興奮はピークに達していた。
次第に嗜虐的な気分になってきて、
腋の下だけでなく、
他の部分も舐めさせたいという欲求が膨らんでくる。






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